初めまして。
旬やさいゼミのせっつなみこです。

私は、幼少の頃より、重度のアトピーでした。
思春期にステロイドを経ち、 その後は想像を絶するような状態をなん度も経験してきました。

思春期の女子には、辛すぎる体験でした。
そして必死で勉強してようやく合格した大学に入って、 受験から解放されさあコレから大学生活を楽しもうとした矢先、
新しい環境と慣れない一人暮らしのストレスから 人生最悪の状態にまで落ち込みました。
顔の凹凸がなくなり、全身から滲出液が流れ、 その日から2ヶ月、ほぼ寝たきり状態でなん度も死にたいと思いました。

それまでの自分はその責任を全て親のせい環境のせいにして、 自分のせいではないと逃げていました。
が、このままでは生きていても意味がないと思い、 本気で治したい!自分を変えたい!と強く思いました。

それからというもの、どうやったら改善するのか、 情報を集め出しました。 そこで「断食」というキーワードに出逢います。
直感的に、コレかも!と思い、すぐに紹介してもらった 断食道場で3週間の断食に挑戦します。
この3週間で脱皮するかの如く、全身の皮が剥がれ落ち、 キレイな肌が出てきたのです。

いかに「腸」が大切かを自分の体を通して痛感しまし、 「腸」が喜ぶ食事をしなければダメなんだと悟りました。
そしてそれまでは、甘いもの・脂っこいもの・肉・パンが大好きで、
食べたいだけ食べていましたが、 これを機に野菜中心の食生活にガラリと変わったのです。

この時から野菜だけで料理をしてお客様をおもてなしする 「精進料理」の世界観に心を奪われ、
いつか自分も野菜料理で人を喜ばせたいと漠然と夢を抱くようになりました。

それならば、まずは「野菜」の勉強をしようと、野菜が作られる農業に興味を持ち出し、
とある有機農家さんのところへ通い始めました。

そこで、畑からできる野菜に感動し、美味しい野菜を世の中に広めなければという使命感から、
なんと25歳の時に八百屋を立ち上たのです。

立ち上げたはいいものの、 商売のことも野菜のことも全く知らないど素人。
すぐに立ち行かなくなります。

それでも辞めるという選択肢はなく、この世界に入ったからには、
野菜の流通の世界で一流を目指そうと、 築地市場へ修行に行きます。
そこで、プロの野菜の目利きを学び、 その後ご縁のあった北海道札幌の青果店で、
自分の作った野菜に誇りを持っている農家さんの 美味しい野菜を世の中に広めるべく、
8年間プロの野菜バイヤーとして活躍しました。

毎日のように畑から届く野菜を扱い、調理して食べ、
自分の中で「美味しい野菜」とは何かという基準ができてきた頃、
本当に自分が心からいいと思った野菜と
商品として「売れる」野菜との ギャップに違和感を感じるようになってしまったのです。

そして、自分が本当にいいと思った野菜を使って、 自分でも表現をしたいと思うようになりました。

ちょうどこの時、プライベートでも転機が訪れ、
12年間人生を賭けていた野菜の仕事も辞めることになり、 人生がリセットすることになります。

もう一度自分とじっくり向き合おうと、
ずっと行ってみたかったオーガニック先進国カリフォルニアへ渡ることにしました。
たまたま見つけたきたカルフォルニアの山奥のリトリートセンターで
ベジタリアンコックとして半年間働くことになったのです。
そこは日本人どころか、アジア人すら1人もいないところでした。

英語もほぼできない状態で渡米しましたので、
最初の頃は、周りの英語が全く聞き取れず、話すこともできないため、
不安と孤独で押し潰されそうになっていました。

しかしながら、この時「料理」が自分を救ってくれました。
キッチンで料理をしているときは、全てを忘れ、没頭し、
ただただとにかく楽しかったのです。

何より、自分がこんなに料理が好きだったことに驚きました。
誰よりも料理することにコミットしていたので、
気づけばメニューの組み立てからスタッフのシフトまで、
キッチンを回す人になってました。

ある日、団体でゲストがきた時のこと。

ゲストが喜ぶと思って、色々な種類の野菜握り寿司を作りました。
すると、ダイニングから私を呼ぶ声が。

キッチンからダイニングにつながるドアを開けると、
なんと、ゲスト全員がスタンディングオーベーションで私を迎えてくれたのです。

この時、料理に国境はなく、こんなにも人を喜ばせることができる!
という感動的な体験をさせてもらいました。

そして「野菜料理で人を喜ばせたい」と強く思った20代の頃を思い出しました。

帰国後は、自分の目指す料理とおもてなしを学ぶために、
ローカルガストロノミーの先駆けとなった旅館の調理場で働いたり、
花背にある某老舗料理旅館の仲居として女将のもとで修行したりなど、
「料理で人を喜ばせるため」に大切なことを現場で学びました。

そして少しずつその活動を始めようと、
紹介制で野菜中心のコース料理や懐石料理を自宅で出すようになりました。

その活動をする中で、野菜のことを教えてほしいという声がありました。
私が当たり前だと思っている野菜のことを、 多くの方が知らないという事実が発覚します。


野菜には美味しい時、旬の時があります。
また、野菜は野菜は作る人作る場所で全く違うモノになります。

同じ野菜でも「個性」があるのです。

野菜は「工業製品」ではなく、作った人の思いが上乗せされている「作品」です。

バイヤー時代、私は野菜を仕入れる時には必ず畑を訪れて、農家さんとたくさん話をしました。
ですので、生産者がどういう人でどういう思いで野菜を作っているのかが分かりました。

そして、野菜をお客さんに届ける時には、
作った人の「思い」が伝わるように生産者の話をよくしていました。
単なる「商品」として扱われることが本当に嫌で、
野菜を無碍に扱うお客さんとはケンカ腰になることはよくあり、 商売には向かなかったです 笑

また野菜は、作る時期や場所により、全く違う味や性質になります。
本来もつその野菜にバチっとあった環境で育てられた野菜は、 その魅力を最大限に発揮することができます。


春になると冬の間眠っていた大地のエネルギーが一気に爆発し、
生命の息吹を感じる芽吹野菜の春野菜が登場します。
夏を迎えると、今度は燦々と輝く太陽の下で育てられた元気な夏野菜たちが旬を迎えます。
そして冬になると、寒風吹き荒む大地にも負けじとじっと耐え抜いて 甘みを増した冬野菜が畑で出番を待っています。

このように、野菜には、その野菜が最大限に魅力を発揮できる時期があるのです。
私が当たり前だと思っていたこのような事実を伝えていくことが、 私のミッションではないかと思いました。

これがこの「旬やさいゼミ」を立ち上げた理由です。